【かかりやすい犬種】 |
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すべての犬種。がんのなかでも肥満細胞腫はとくに、ボクサー、ボストン・テリア、ブル・マスティフ、イングリッシュ・セターなどに多い |
【原因】 |
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がんは細胞の異常増殖によって起こります。異常に増殖した細胞が正常な細胞をおかし、やがて全身に転移します。
本来、異常に増殖する細胞があってもそれを抑える「がん抑制遺伝子」が働いていれば、がんの発生を防ぐことができます。ところが、何らかの原因で抑制遺伝子が傷つけられ、がん遺伝子が優勢に立つと、がん細胞が増殖します。
がん抑制遺伝子は、高齢になると衰えるので、高齢になるほど、がんが発生しやすくなるのです。一般に、犬のがん発症年齢は、5〜6歳頃からはじまります。
・遺伝
犬種や個体によって差があるが、がん遺伝子が受け継がれることで、発症する確率が高<なります。
・老化
老化によって、がんを抑制する遺伝子の働きか弱くなったり、それまでの生活環境から受けた要因が積み重なって発症しやすくなります。
・ホルモン
乳がんや肛門周囲の腫瘍では、性ホルモンが関係していると考えられています。
・化学物質
タバコの煙やスモッグ、排気ガスなどの化学物質は、発がんを促す要因と考えられています。
・紫外線・放射線
とくに皮膚がんの発症に深く関係しています。
・ウイルス
白血病や悪性リンパ腺の原因の一つであることがわかっています。
これらのほかにも、外傷や寄生虫の感染もがんの発生に関係していると考えられています。 |
【症状】 |
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しこりは代表的な症状ですが、すべてががん(悪性)ではなく、良性の腫瘍もあります。しかし、素人ではその判断はつきません。しこりを見つけたら、必ず獣医師に診てもらうことが大切です。
主な皮膚がんの種類と症状は次の通りです。
・皮脂腺腫
皮脂が分泌される皮脂腺にできるがんです。患部には数センチの脱毛が起こります。
・扁平上皮がん
皮膚や粘膜をつくる細胞ががん化したものです。耳や鼻の先端部、つめの根元によく発症します。また、高齢の犬や、白い毛の大に多く見られます。
・黒色腫
黒い腫瘍ができます。黒い毛の犬に多く見られます。
・肥満細胞腫
免疫反応に関係する肥満細胞ががん化したものです。 しこりのほか、胃潰瘍が起きたり、循環不全などのショック症状が現れることがあります。とくに下半身に現れたものは、悪性度が高いといわれます。
・腺がん
肛門周囲や耳の内側、鼻腔、直腸などに起こります。しこりが急激に大きくなります。直径が1〜2cmになると、腫瘍の表面が崩れてくることがあります。
・肛門周囲腺腫
肛門の周囲にニキビのようなブツブツができ、次第に大きくなります。腫瘍が大きくなると、便が出にくくなります。また、おしりを気にしてしきりになめたり、地面におしりをこすりつける動作が見られます。 |
【予防法】 |
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がんは早期発見・早期治療が基本です。飼い主はふだんから、皮膚の変化に十分に注意し、異変を見つけたらすぐに受診してください。
なかなかなおりにくい皮膚病だと思っていたらがんだった、ということもあります。気になる皮膚症状がある時は、必ず獣医師の診察を受けることが大切です。 |