日本人と犬

日本人とイヌのかかわり

日本ではイヌなどの動物をペットとして飼育する習慣はあまりなかったようです。
これは、歴史的にイヌなどの動物飼育という文化が、日本では比較的薄かったといえるからではないでしょうか。

◆古墳時代

縄文時代には、主としてイヌは狩猟などのために使役されていたのでしょうが、埋葬されたイヌの骨に添えられていた花の花粉が見られたり、なにかの食料の残骸が一緒に発見されたりしています。こういうことから見ても、イヌが縄文人のパートナーであったことはほぼ間違いないようです。

農耕が本格化する弥生時代になると、狩猟のためというイヌの役割がなくなり、食料に供されるなどイヌにとって受難の時代に突入したとも言えます。

◆平安時代はネコ

平安時代に宮中でペットとして飼われていたのは、主にネコであったようです。
奈良時代に中国から渡来したもので、一説によれば、貴重な経典をネズミから守るためだったと言われています。

◆生類憐みの令

近世に入ってからのイヌの話題は、なんといってもイヌ将軍こと五代将軍徳川綱吉の「生類憐みの令」です。

綱吉がイヌの愛護に熱意を注いだのは、彼が戌年生まれで大のイヌ好きだったという説もあります。しかし、当時の江戸ではイヌが半野生の状態で町の中に放置されていて、人に噛み付いては武士に切り捨てられていたことなども動機のひとつだともいわれています。

いずれにしても、莫大な出費と違反者に対する厳しい処罰のため、しだいに民衆の不評と反感が大きくなり、「生類憐みの令」は綱吉の死とともに廃棄されたのです。

その後江戸時代の後期に、西洋のペット犬が外国人とともに上陸して、イヌがペットとして飼育する動物だということを理解されるようになり、イヌを飼う人たちが徐々に増えていったのです。

 

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