●犬の肝臓の病気
●犬の急性肝炎
犬の急性肝炎の多くは、中毒によるものと、薬物によるものです。予後のためには、生活療法と食餌がたいへん重要になります。
【かかりやすい犬種】
すべての犬種
【原因】
犬の急性肝炎の多くは、化学物質による中毒や薬物によって肝細胞が傷つけられたり破壊されるために起こります。
そのほかにも、ウイルス感染や、細菌、吸虫類、バベシア原虫などが原因となり、肝炎が引き起こされるケースもあります。
【症状】
食欲不振になったり、においの強い粘土色の便が出ます。下痢や嘔吐を繰り返すこともあり、そのため、ぐったりとして元気がなくなります。
さらに、黄疸が出ると目の白目の部分が黄色っぽくなります。黄疸が出た場合は重症です。
進行すると、筋肉の震えやけいれん、筋力の低下などの神経症状が起こります。
【予防法】
肝臓の病気では食餌はたいへん重要です。
低脂肪で高栄養、ビタミン類の豊富なものを食べさせます。とくに破壊された肝細胞の再生には、多量のたんぱく質が必要です。
家庭でどんな食餌を与えたらよいか、食餌内容の細かい注意点を獣医師に聞いておきましょう。
●犬のイヌ伝染性肝炎
イヌ科の動物だけ感染するウイルス性肝炎で、離乳直後から1歳未満の子犬では感染率も致死率も高い病気です。
【かかりやすい犬種】
すべての犬種
【原因】
アデノウイルスに感染することで発症します。アデノウイルスには1型と2型があり、肝炎を起こすのは1型です。
感染経路は、すでに感染している犬の尿や唾液をなめたり、汚染された食器などから経口感染します。
【症状】
・軽症型
食欲不振になって元気がなくなります。鼻水が出たり、39℃程度の微熱が出ます。
・重症型
次のような症状が現れます。
鼻水や涙が出て、その後高熱が出る
下痢や嘔吐が起こる
扁桃がはれたり、目の粘膜が充血・点状に出血する
まぶたや頭、体にむくみが起こる
おなかが痛いため、腹部を触られるのを嫌がる
【予防法】
伝染性肝炎はワクチンを接種すれば予防できます。1年に1回忘れず予防接種をうけてください。
●犬の肝硬変
肝細胞が、病気によって傷つき硬く変質した状態です。肝臓の機能も著しく低下します。
【かかりやすい犬種】
すべての犬種
【原因】
慢性肝炎からの移行によるものがほとんどです。肝細胞に長期間にわたって炎症が起こり、肝細胞が破壊された結果、線維組織が増殖して硬く変質します。肝機能も次第に低下していきます。
慢性肝炎以外に、フィラリア症の末期にも見られます。
【症状】
急激な変化というより、何となく元気がない状態が続き、次第にやせていきます。
末期には、食欲不振やおなかの痛み、黄疸などが見られます。まべ腹水がたまっておなかが膨れることもあります。
【予防法】
予防のためには、肝炎で見られる症状のサインを早期に察知し、進行をくい止める治療を受けることが大切です。