猫の血液・循環器系の病気
血液は生命に大切な要素で、酸素や二酸化炭素を運ぶ赤血球、病気と闘う白血球、出血をとめる血小板によって成リたちます。
血液中の赤血球の量は、人や犬が45%であるのに対して猫は35〜36%と少な<、大きさも小さ<、壊れやすいという特徴があります。
ほとんどの猫の血液型はA型で、品種によりB型も生まれます。品種とは無関係にAB型も稀に生まれますが、O型はありません。
●猫の貧血
【原因】
貧血は病名ではな<、血液中の赤血球の数が減少する状態をいいます。
貧血には、赤血球が骨髄でつくられなくなる非再生性貧血と、出血や溶血で赤血球が失われるため造血が追いつかすに起こる再生性貧血があります。
・非再生性貧血…鉄分の欠乏、口内炎などの慢性疾患、腫瘍、慢性腎不全、白血病、骨髄の異常などによって起こります。
・再生性貧血…出血に加えヘ赤血球の異常に関連して生じます。
【症状】
□、歯茎などの粘膜や舌、鼻が白っぽくなり、運動すると疲れやすくなります。
【治療・予防法】
骨髄検査、血液検査、ウイルス検査などによる原因の究明が治療の第一歩です。
●猫のヘモバルトネラ症(ネコ伝染性貧血
【原因】
ヘモバルトネラーフェリスというリケッチアが赤血球に寄生して、血管内外で溶血を起こします。
通常、ヘモパルトネラ感染のみでは貧血を起こさす、ネコ白血病ウイルス感染、ケンカ傷、ストレスなどによって誘発されます。
【症状】
元気消失、粘膜蒼白、発熱、時に赤色尿、黄疸が見られます。
【治療・予防法】
ストレスや外傷(ケンカなど)などを避けるようにし、貧血の徴候が見られたらすぐに病院に行きましょう。
ヘモバルトネラ感染の予防として、ノミ駆除が有効です。
●猫のハインツ小体性溶血性貧血
【原因】
タマネギ、ニンニクなどや解熱鎮痛薬などの薬剤成分で、赤血球中のヘモグロビンが変性する病気です
【症状】
猫の赤血球は薬物で壊れやすく、中毒性のハインツ小体という蓄積物が形成されて赤血球が破壊され、血管内外で溶血を起こします。
健康な猫でも小型のハインツ小体が見られることがあります。
【治療・予防法】
原因となる野菜や化学物質、薬物の摂取を避けます。
●猫の鉄欠乏性貧血
【原因】
ヘモゲロピンの構成要素である鉄が欠乏すると造血機能が低下します。
長期にわたる慢性的な出血によって、赤血球とともに大量の鉄が喪失して起こります。
【症状】
便に血が混じっていたり、黒いタール便をします。
【治療・予防法】
ノミや寄生虫の駆除。便に血が混じっていたり、黒いタール便をするときは早めに動物病院で診てもらいましょう。
●猫の血液の腫瘍
【原因】
血液の腫瘍は、骨髄で増殖するため骨髄増殖性疾患と呼ぱれます。血液中に多数の腫瘍細胞が流出する白血病、リンパ節などでリンパ球が感化して腫瘍ができるリンパ腫があります。
猫の血液腫瘍のほとんどは、リンバ腫が占めます。胸の前縦隔にできる胸腺型、腸にできる消化器型のほか、目や神経系など全身にわたってでき、症状もそれぞれです。
【症状】
元気消失、体重減少、粘膜蒼白、発熱、出血傾向、リンパ腫ではリンパ節腫大や下痢、呼吸困難、神経症状などが起こります。
胸腺型はネコ白血病ウイルスに感染している若い猫、消化器型はネコ白血病ウイルスに感染していない高齢猫に多く、ネコ免疫不全ウイルスの関連なども認められています。
【治療・予防法】
死亡率が高く、完治は望めません。抗癌剤の投与による延命治療となります。
なるべく快適な環境におき、容態の変化や悪化に対しては病院で診てもらいましょう。予防の方法は特にありません。
●猫のワルファリン中毒(クマリン中毒
【原因】
殺鼠剤や抗血栓薬の誤飲、殺鼠剤を食べたネズミの捕食によって起こる中毒です。
【症状】
元気消失、食欲低下、発熱、皮下出血、鼻出血、吐血、下血、貧血などがあり、脳血管、心内膜嚢、胸腔、眼底などの出血が見られます。
【治療・予防法】
動物病院での治療が必要となります。
殺鼠剤がまかれる場所には猫を近づけないようにし、薬剤の保管は誤飲のないよう厳重にしましょう。