猫の目の病気
猫の目は直径2cmの球状で、瞬膜、強膜、角膜、虹彩、水晶体、硝子体、網膜などで構成されています。
瞼と瞬膜・・・:眼球を保護します。
角膜・・・強膜とともに、外膜として形状を維持しています。水晶体とともにカメラのレンズのような働きをし、見た物の像を網膜に結びます。
虹彩・・・瞳孔を形成し、明るいところでは縦型に収縮し、暗いところや驚いたときなどには丸く広がって、目に入ってくる光の量を調節します。
網膜・・・光の刺激を視覚情報として処理し、視神経に伝えて脳へ送ります。
●猫の結膜炎
【原因】
細菌・真菌・ウィルス・寄生虫・アレルギー・毒性化学物質・毛やほこり等の異物が眼に入って炎症が起きます。
【症状】
瞼の内側が充血し涙や目ヤニが出ます。瞼の周辺に痒みを伴ったり、痛い為に目をこすり、腫れる場合があります。
ときにはくしゃみや鼻水を伴い、炎症が進むと目が開かなくなることもあります。
【治療・予防法】
原因によって治療法は異なりますが、一般的には眼瞼の洗浄、点眼・目の周囲をホウ酸水などで洗ってあげ、症状によっては目薬・眼軟膏を使用するようです。
ヘルペスウイルスの感染による治療は、インターフェロンが効きます。
●猫のホルネル症候群
【原因】
目を支配する交感神経が通る頸、胸椎、耳、眼窩になんらかの障害が起こって発生します。
耳の裏側が交感神経の通路となっているため、耳ダニなどによる中耳炎で起こることもあります。
【症状】
上まぷたが垂れ下がる、瞬膜が飛び出て見える、目が落ちくぱむ、瞳孔が縮んで左右の大きさが異なるなどの症状を示します。
【治療・予防法】
原因をつきとめ対症療法を行います。
●猫の網膜剥離
【原因】
外傷、腫瘍、炎症、高血圧などによって、網膜が脈絡膜からはがれた状態を網膜剥離と呼びます。
【症状】
段差をためらったり、高いところへ跳び乗れないなどの行動や、明るいところでも腫孔が開いたままなどの異常が見られるようになります。
【治療・予防法】
部分剥離は治療可能ですが、全網膜剥離は治療不能です。
異常に気づいたら、早めに受診しましょう。
●猫の瞬膜の突出
【原因】
目の病気のほか、神経性の異常や脱水などが原因で起こります。
猫のまつげは上にしかありません。 そのかわりに猫の目頭寄りのまぶたの内側に瞬膜という薄い膜があり、第3のまぶた(第三眼瞼)とも呼ばれています。
【症状】
瞬膜は目を保護したり涙を分泌する役目があり、健康時には下眼瞼の内側に隠れています。
角膜の上部約1/2をおおったまま戻らない状態を「瞬膜の突出」といいます。
【治療・予防法】
原因をつきとめて対症療法を行います。病気が治るにつれて体調が回復すれば元の状態に戻りますが、ながびく場合もあります。
●猫の角膜炎
【原因】
ほこりや異物、事故やケンカなどの原因や床材などによる刺激や細菌・ウィルスまたは真菌の感染などいろいろの原因があげられます。
【症状】
涙が多く出たり光をまぶしがるほか、瞼の痙撃などが起こり、痛みや視覚障害を伴います。
また目を擦ることにより、角膜が傷ついたり、眼の周りが腫れる症状を併発することもあります。
【治療・予防法】
つねに目の清潔を心がけることが大切です。
原因に添った対症療法を行いますが、人間用の目薬は使用してはいけません。
●猫の流涙症
【原因】
涙の過剰分泌や涙管のつまり、先天的な奇形などのほか、結膜炎や角膜表面の障害も原因として上げられます。
【症状】
涙は涙腺から分泌され、角膜を湿らせた後に、涙小菅と鼻涙管という細い管を通って鼻腔に排泄されます。
これらの管が細くなったりつまるために、涙がうまく排泄されず、目からあふれる状態を流涙症と呼びます。
ペルシャネコやヒマラヤンのように、鼻が短く目が大きい猫種に多く見られます。
【治療・予防法】
目の下の被毛が茶色くなる涙やけや、角膜の病気が進行することかあるので、早めに処置してあげてください。