●犬の生殖器の病気
●犬の子宮蓄膿症
子宮に膿がたまるメスの病気です。放っておくと死亡する危険があります。妊娠・出産の経験のない犬はかかりやすいので、とくに気をつけてください。
【かかりやすい犬種】
セント・バーナード、ロットワイラー、チャウ・チャウ、ブルドッグ、コリーなど
【原因】
子宮が大腸菌、ブドウ球菌などの細菌に感染することで起こります。細菌感染には、発情期が関係しています。
犬の発情期(約2週間)は比較的長いのが特徴です。この間は、子宮の入り口である子宮顕管が開いているため、子宮に細菌が侵入しやすくなります。
また、犬はおすわりの姿勢をとることが多く、その際に肛門周囲の細菌が膣に付着しやすいことも一因と考えられています。
【症状】
・尿の量が増える
水をたくさん飲むため、尿の量が増える。ひどくなると排尿の調節ができなくなって、尿をもらすこともあります。
・おなかが膨れる
子宮に朧がたまると、次第におなかが膨れてきます。
・水をがぶ飲みする
のどか渇<ために水をカブカブ飲みます。
・外陰部がはれる
外陰部がはれたり、においのきつい赤褐色の分泌物(おりものや出血)があります。
・おなかを触られるのを嫌がる
痛みがあるため、おなかを触られるのを嫌がります。
【予防法】
予防のためには、定期的に妊娠・出産させるのがいちばんですが、実際にはそうもいかないでしょう。
早いうちに避妊手術を受けるのもひとつの方法です。
●犬の乳腺炎
出産後、子犬に授乳している時期に起こるメスの病気です。乳腺にしこりができ、痛みとともに発熱も見られます。
【かかりやすい犬種】
出産後、発情後のメス犬
【原因】
乳汁がたくさん分泌され過ぎたり、乳腺が細菌に感染することが原因です。化膿して膿を侍つこともあります。出産後に子犬が死んでしまって、おっぱいを飲ませられない場合に起こるケースもあります。
妊娠していないのに多量に乳汁が分泌されることがあり、そうしたケースでは乳腺炎が起こりやすくなります。
【症状】
急激に発熱します。乳腺も熱を待ち、しこりができて痛みかおるため、触られるのを嫌がります。黄色い乳汁が出ることもあります。
痛みや発熱で元気がなくなり、食欲も低下します。また痛みでイライラしている様子が見られます。
【予防法】
妊娠していないのにたびたび発症する時は、出産の予定がなければ避妊手術を受けることで再発を防ぐことができます。
避妊手術を受けない時は、発情期の後に、乳汁をしぼるなど、飼い主のこまめなケアと観察が必要です。
●犬の前立腺肥大
オスの高齢犬に多く見られる病気です。ホルモンの分泌が低下するために起こります。発症していなくても、高齢犬の約半数以上に前立腺の肥大が見られると言われます。
【かかりやすい犬種】
オスの高齢犬
【原因】
老化によって、精巣の働きが低下し、精巣から分泌されるホルモンが減少するために起こります。その結果、前立腺が肥大します。
【症状】
・がんこな便秘になる
腸が圧迫され、便が出なくなります。
・しきりに排便しようとする
便意はあるので、しきりに排便姿勢をとり、いきみます。
・少しの粘液便しか出ない
さかんにいきむことて少量の粘液便が排出されます。
・おしっこが出にくかったり、もらすこともある
高齢のオスでこうした症状が現れたら前立腺肥大が疑われます。
【予防法】
若いうちに去勢手術を受けておくと、肥大することはありません。
●犬の停留睾丸
睾丸(精巣)が、生後しばらくたっても陰嚢に降りてこず、腹部や鼠径部(足のつけ根)にとどまってしまう病気です。
【かかりやすい犬種】
イングリッシュ・コッカー・スパニエル、シルキー・テリア、ポメラニアン、レークランド・テリアなど
【原因】
睾丸は、胎児の時は腎臓の後ろあたりにありますが、次第に移動して、ふつうは生後1か月程度で陰嚢に収まります。しかし、停留睾丸の場合には、腹腔内や鼠径部に停留してしまって、睾丸が正常な位置まで降りてきません。
【症状】
潜在しているのが片側の睾丸、もう片方が正常な位置にあれば、生殖能力に問題はありません。停留睾丸による症状も、とくに現れることはありません。
【予防法】
腫瘍になりやすいので、定期的に検査を受けた方がよいでしょう。心配であれば、早めに摘出手術を受けることをおすすめします。