犬の心の病気

●犬の心の病気

●犬の支配性による攻撃性

性格的に攻撃性の高い犬に見られますが、飼い主がわがままに育ててしまったために起こることもあります。
「家族」という群れのり−ダーとして、飼い主を支配しようとするために攻撃的になります。

【かかりやすい犬種】
すべての犬種

【原因】
性格的な素因が関係しており、脳内のある種の神経伝達物質が減少することが原因ではないかと考えられています。
また、愛犬を甘やかして育ててしまうと、犬自身が飼い主の上に立つリーダーになろうとするために起こりがちです。

【症状】
犬が情緒面で成熟しはじめる1〜3歳ぐらいから見られるようになります。耳やしっぽを立てて威嚇したり、うなったり、かみつこうとします。
たとえば、愛犬のおもちゃを取りあげようとした時や、ソファなどから降ろそうとした時など、気に入っているものに手出しをした時に見られます。

【予防法】
食餌は飼い主の後に与える、排泄の時以外は外に連れ出さないなど、生理的な生活条件を満たしたうえてりーダーがだれであるかを愛犬にしっかりと認識させます。
この間は、愛犬と目を合わせず、できる限り無視をします。

●犬の恐怖による攻撃性

強そうな犬を見た時、見慣れない人、知らない場所などに遭遇した時、恐怖心から攻撃的になるものです。

【かかりやすい犬種】
生後すぐに母犬と引き離された犬、人や犬と接触せずに育った犬

【原因】
幼犬の頃に社会との接触がなく、社会性が身につかないまま成長した犬に起こります。とくに、生後間もない時期に、母犬から引き離された場合に多く見られます。
これは母犬から引き離されて精神的に不安定な幼犬時代を送ったため、新しい刺激に対して過剰に反応して、恐怖心から攻撃的になるためだと考えられています。

【症状】
自分より強そうな犬や見知らぬ人に会ったり、見知らぬ場所に連れて行かれると、恐怖心から攻撃的な行動をとります。
恐怖心のあまり、その場から逃げ出してしまうこともあります。

【予防法】
予防のためには、子犬の時から積極的に外に連れ出すことが必要です。 散歩の時、公園などでほかの犬に会わせたり、犬同士を遊ばせたりします。
また、いろいろな人に会わせることも大切です。 ほかの犬と接触させ、多くの人になでられることて人や犬に友好的な感情を抱くようになります。

●犬のテリトリーを守る攻撃性

訪問客や庭に侵入した猫などから、自分のテリトリー(縄張り)を守るために吠えたり、威嚇します。

【かかりやすい犬種】
防衛本能の強い犬

【原因】
テリトリーを守ろうとする本能によるものです。支配性による攻撃が飼い主や家族に向けられるのに対し、この場合は郵便配達の人や訪問客、庭に侵入した動物などに対して攻撃が向けられます。

【症状】
激しく吠えて威嚇します。オスはメスよりも攻撃性が強く、また飼い生や家族がそばにいなかったり、つながれている時に、さらに攻撃的になります。飼い主に真正面から近づく人に攻撃的になることもあります。
困ったことに、来訪者や郵便配達の人が用件を終えて帰るのを見て、犬は自分が追い払ったのだと思い込むため、ますます攻撃性が強くなります。

【予防法】
いつ、だれに対して攻撃的になるのかを調べ、来訪者が来た時にだけおもちゃやおやつを与えるなどの習慣をつければ、愛犬は来訪者が来るとよいことがある、と思うようになります。これらは、とても有効な方法ですが、根気よく続ける必要があります。





●犬の環境の変化による不安

神経質で臆病な性格の犬に多く見られます。大きな音や強い光などをひどくこわがって、パニックになってしまいます。

【かかりやすい犬種】
神経質で臆病な犬

【原因】
大きな音や光に遭遇した時、避難する場所がないために極度の不安におちいり、さまざまな症状が現れます。
発症の原因には、神経質、臆病といった犬の性格が深く関係しています。

【症状】
次にようななものをよくこわがります。
・雷と稲光、激しい雨音
・花火や爆竹
・サイレンや車のクラクション
・ビルエ事や道路工事などの大きな音や光
これらに遭遇すると、吠えついたり、呼吸があらくなったりで震え出します。なかには、恐怖から失禁してしまう犬もいます。その場から逃げようとドアをひっかいたり、狭いところに潜り込んでしまうこともあります。

【予防法】
予防のためには、リーダーである飼い主と愛犬の信頼関係を築くことが大切です。近くにりーダーがいれば大丈夫という安心感が、愛犬のパニックを抑えます。
また、避難用のケージやベッドを用意しておき愛犬が恐怖心から震え出したりパ二ックにおちいったら、そちらに移し、逃げ場所をつくってあげるのも愛犬を安心させるよい方法です

●犬の分離不安

飼い主から離れることで、異常なほど不安を抱く病気です。そのため、ひとりで留守番などができません。
吠えたり、部屋の中をあらしたり、トイレ以外の場所で排泄するなど、困った症状が現れます。

【かかりやすい犬種】
さびしがりな性格の犬、つねに飼い主と一緒にいる犬

【原因】
さびしがりやで甘えん坊な犬の性格が、原因のひとつと考えられています。しかし、その発症には飼い主と愛犬との関係が最も深く影響しているようです。
愛犬とつねに一緒に過ごすような、密着した生活を続けていると、愛犬は飼い主に対して依存心を抱くようになります。
その結果、飼い主がいなくなると不安でたまらなくなり、さまざなま問題行動を起こすようになります。

【症状】
飼い主が出かけて不在になってから、30分間以内に次の症状が見られる場合は、分離不安といえます。
・しきりに吠える
・飼い主の待ち物を壊す
・部屋の中をめちやめちやにあらす
・トイレ以外の場所で排泄する
・震え出す

【予防法】
予防のためには、子犬の時からのしつけが重要です。一緒に過ごす時間が長過ぎると、愛犬は次第に、飼い主に依存するようになります。
幼い頃からひとりで過ごす時間をつくり、自立心を育てることが大切です。
・出かける前は
 外出前の2〜30分間は愛犬に注意を払うのをやめ無視する
・帰ってきた時は
 静かになるまで無視する。問題行動が見られても叱らない
・家では
 飼い主が主導権を握った状態で犬と遊ぶ。出かけるふりを繰り返して、外出に慣れさせる

●犬の強迫神経症

ストレスにさらされ続けることで起こる、重度の心の病気です。意味のない行動を繰り返し、飼い主でもやめさせることが困難です。

【かかりやすい犬種】
ストレスにさらされている犬

【原因】
はっきりした原因はわかっていません。しかし、この病気が見られるようになったのはごく最近であるため、飼育環境の変化によって起こるのではないかと推測されています。
昔、犬が人間と暮らしはじめた時代には、狩猟犬や牧羊犬としての役割や仕事が与えられていました。しかし、現在、家庭犬として飼われている犬たちには特別な役割がありません。
犬が本来待つ性質が抑圧されたことが、発症に関係しているのではないかと思われます。

【症状】
獲物をとらえるように、何時間も動くものを追い続けたりします。自分のしっぽを追いかけ回してグルグル回ったり、自分のしっぽにかみついて傷つけたりします。これは自虐的行動といわれるものです。
また、虫が飛んでいるわけでもないのに追いかけるような動作をしたり、空をかむような行動を繰り返します。そのほか、足の裏やつめを何時間もなめ続け、皮膚炎を起こすこともあります。
このように、ひたすら意味のない行動を何時間でも続けて行ったり、自分の体が傷ついてもやめない動作があるような時には、強迫性異常症が疑われます。

【予防法】
・最低でも1日に2回は散歩に出かける。散歩の際には、必ず運動する時間を設ける。また、1度習慣づけた散歩や運動はきちんと行う
・長時間、犬だけにしない
・スキンシップをはかり、一緒にいる時間をなるべく多く持つ

 

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