●犬の消火器の病気
●犬の胃炎
胃の粘膜に炎症が起こる病気です。一時的に起こる急性胃炎と、長期間続く慢性胃炎があります 。
【かかりやすい犬種】
すべての犬種
【原因】
◆急性胃炎
胃炎の多くは急性胃炎です。その原因のほとんどが食餌によるもので、腐ったものを口にしたり、汚れた水を飲んだり、子犬に食餌を与え過ぎたことが原因となります。
また、殺虫剤などを誤って飲み込んだり、プラスチック片やゴム、鶏の骨、木片を飲み込んでしまうケースも多く見られます。
◆慢性胃炎
誤って飲み込んだ異物が消化されずに胃で停滞しているために、慢性的に炎症が続くことがあります。そのほか、胃の運動低下、器質的な異常、ストレス、腫瘍などが原因となっていることがあります。
【症状】
急性胃炎では、ほとんどのケースで嘔吐が見られます。食べ物、粘液、胃液を吐き、水を飲んでは繰り返し吐きます。吐いたものに血が混じることもあります。
また、胃が痛いため、腹部を触られるのを嫌がります。腐ったものを食べた場合には下痢もします。
慢性胃炎では目立った症状は見られませんが、いつも食欲がなかったり、時々吐いたりすることがあります。また、げっぷをよくします。
●犬の胃潰瘍
胃潰瘍は、胃の粘膜が傷つき、その傷が深く筋層まで達する病気です。そのほとんどは、腎不全や腫瘍などの重大な病気が誘因となります。
【かかりやすい犬種】
腎不全、腫瘍などの病気にかかっている犬
【原因】
大の胃潰瘍のほとんどは、腎不全や腫瘍(肥満細胞腫)、肝不全、敗血症などの重大な病気に伴って発症します。
【症状】
たびたび吐くようになります。嘔吐物は出血した血が変色しているため、赤いというよりもコーヒーのような色をしています。そのほか、使にも血が混じることがあります。赤い血が混じるのではなく、変色してタールのように黒い便が出ます。また、発熱や腹部の痛みなどで、ぐったりして元気がなくなります。
●犬の胃捻転
胃が突然ねじれてしまう病気です。早急に治療しなければ、24時間以内に死亡します。 食餌や運動の管理を飼い主が心がけることで、予防できます。
【かかりやすい犬種】
コッカー・スパニエル、ダックスフンドなど食欲旺盛な子犬、グレート・デーン、バセット・ハウンド、スタンダード・プードル、ボクサー、ワイマラナー、秋田など大型で胸の深い犬
【原因】
胃捻転は、多量の食餌をとった後に、急に激しい運動をした時などに起こりやすいものです。
【症状】
胃捻転の症状は、急性胃拡張の症状と似ていますが、胃捻転の方が症状が重く、突然発症します。主な症状は次の通りです。
・呼吸が苦しくなる
おなかが膨れたり、横隔膜が圧迫されるため、呼吸が苦しそうになります。
・腹痛がある
おなかが痛いために落ち着かなくなったり、おなかを触られるのを嫌がります。
・嘔吐ができない
急性胃拡張でも見られますが、胃捻転でも起こります。吐こうとしているのに、吐くことができないのが特徴です。
・大量のよだれが出る
【予防法】
予防には、食餌量や運動時間の改善とともに、次のような点に注意することが大切です。
・食餌の適正量を守る
・食餌は2〜3回に分けて
・食べてすぐには運動させない
・水はいつも置いておく
●犬の慢性腸炎
腸の慢性的な炎症で、嘔吐や下痢などの症状が、比較的長期間にわたって見られます
【かかりやすい犬種】
すべての犬種
【原因】
慢性腸炎は、食べ物に対するアレルギーや、腫瘍、寄生虫などが原因で起こります。
【症状】
嘔吐だけを繰り返したり、下痢だけを繰り返すことがあります。また、嘔吐と下痢の両方が見られることも少なくおりません。
そのほか、おなかが鳴ったり、口臭が強くなったりします。下痢や嘔吐で脱水気昧になるため、水をよく飲むようになります。元気がなく、食欲不振になることもあります。
【予防法】
慢性的に下痢が続く時は、消化のよいフードを数回に分けて与えるなど、食餌にも注意が必要です。水を十分に与え、脱水症状を予防します。
また、食欲不振で食餌が満足にとれないような時は、スポーツドリンクを飲ませるとよいでしょう。ブドウ糖やミネラル類を補給することができます。
●犬の腸閉塞
腸に何かが詰まってしまう病気です。完全に詰まって腸の内容物が動かなくなると死亡することもあり、緊急を要する病気です。
【かかりやすい犬種】
すべての犬種
【原因】
最も多いのは、異物を飲み込んでそれが腸で詰まってしまうケースです。小さなボールや木片、プラスチック類のほか、ビニールや糸くず、ひもなどでも起こります。
そのほか、便秘などで硬くなった便のかたまりや、腸内の寄生虫が原因となったり、腫瘍で腸がふさがってしまうケースもあります。
【症状】
嘔吐が起こります。また、おなかが痛いために、触られるのを嫌がり元気がなく、食欲不振になることもあります。なかには、水を欲しがり、ガブガブと飲む犬もいます。
また、便の量が減ったり、あるいは便がまったく出なくなることもあります。そのために非常に苦しそうにします。
これらの症状が急激に起こることが多いので気づいたらすぐに受診してください
【予防法】
予防対策としては、愛犬が異物を目に入れないように、周囲の環境に注意することが大切です。
とくに子犬は好奇心旺盛で何でもくわえたり、口に入れてしまいます。飲み込んでしまいそうなものは、犬の届かない場所に隠します。
また、むやみにものをくわえないよう、しつけをすることも大切です。