猫の内分泌・代謝系の病気
猫の内分泌疾患は、内分泌腺に変調を起こして発症する病気です。内分泌腺からは血液などにホルモンが分泌され、ホルモンは体の他の臓器にメッセ一ジを伝え、体の新陳代謝のバランスをとっています。
内分泌腺は体の器官では大変小さなもので、分泌されるホルモンも微量ですが、その作用は大きく、なくてはならないものです。
ホルモンの作用は全身におよび、相互作用もあるため、内分泌疾患は病気の状態の把握、診断が難しいものが多くあります。
●猫の糖尿病
【原因】
膵臓のインスリンの分泌低下、作用障害から起こります。
遺伝的に高血糖を示しやすい猫に、血糖値を上昇させるような肥満、ストレス、感染症などの因子が加わると、糖尿病を起こしやすくなります。肥満していた猫が急激に痩せてきた場合は、糖尿病の進行が考えられます。
【症状】
インスリンの不足から高血糖を引き起こすため、糖分を含んだ多くの尿を出し、その結果多飲になります。
外耳道炎、膀胱炎などの感染症、白内障、網膜障害、腎障害、神経障害などの合併症を起こしやすくなり、肥満した糖尿病の猫が長時間食事をとらないと、肝リピドーシスも発症します。
【治療・予防法】
猫の糖尿病は人や犬の場合と違い、早期発見であれば、インスリン治療なしに食事療法と減量で治るものもあります。
発病しても長時間型のインスリンで血糖値コントロールをし、抗生物貿による感染症の制御で合併症を防げます。
健康な体重を維持し、適度な運動とストレスのない生活を送ることが予防につながります。
●猫の甲状腺機能亢進症
【原因】
新陳代謝や体温を維持する機能の病状が進んで、甲状腺ホルモンが増加する病気です。
【症状】
・活動が活発になる、落ち着きがなくなる、不安の表情、興奮しやすい、攻撃的になる、夜眠らない
・よく食べるのに痩せてくる、排便回数が増加する、多飲多尿になる、下痢・嘔吐をしやすい
・心拍数が上昇する、粘膜の充血、体湿が上昇する、筋肉のふるえ、心臓疾患の併発
・呼吸促迫、くしゃみ
・被毛の乾燥、脱毛、爪が伸びるのが旱い
などの症状があります。
【治療・予防法】
外科的に甲状腺の一部を取り除<か、内科的に甲状腺ホルモンの抑制剤を投与します。
主に7歳以上の猫に発病するので、甲状腺が腫大していないか定期的にチェックし早期発見につとめましょう。
●猫の栄養性二次性上皮小体機能亢進症
【原因】
発育中の幼猫が、カルシウム不足やリンの過剰で発症する病気です。
肉やレバー、穀物、ビタミンDの過剰な魚を多く与えた場合に起こります。
【症状】
血液中のカルシウムが不足するため、ホルモンが過剰に分泌して、骨中のカルシウムを溶け出させます。そのため、骨折しやすくなったり、曲がったり、成長阻害を起こします。
生後8〜20適齢に発症し、骨の痛み、骨折、発熱、歩行困難のほか、関節の腫れや脊椎の湾曲を起こします。
また、体に触られることをいやがったり、痛みで鳴いたりします。
【治療・予防法】
運動や外出を制限し、カルシウムとリンのバランスのとれた食事を与えます。
成長期の食事は、手作りよりも必要栄養を計算して作られている良質なキャットフードが安全かつ最良です。