●犬の泌尿器の病気
●犬の腎炎
腎臓に何らかの原因で炎症が起こり、腎臓の機能低下が起こります。症状がわかりにくいため、ふだんから尿の色、尿の量を観察することが大切です。
【かかりやすい犬種】
すべての犬種
【原因】
腎炎の原因はさまざまです。アデノウイルスや連鎖球菌などの細菌、ウイルス、真菌(カビ)などの感染や子宮蓄膿症、イヌ糸条虫症、毒性を持つ物質に対する中毒、糖尿病などの原因によっておきます。
腎臓の炎症が治まらず、1年以上続くと、慢性腎炎に移行します。 慢性腎炎は高齢犬に多く見られます。
【症状】
食欲不振や元気が ないといった症状のほかに、次のような尿の異常が見られます。
・尿の量が少なくなる
・尿の色が濃くなる
・血尿が出る
そのほか、痛みがあるため、腎臓 のあたりを触られるのを嫌がります。
【予防法】
愛犬の尿の状態を日頃からチエックし、色や量、回数などを観察する習慣をつけましょう。
高齢犬は慢性腎炎の予備軍といえます。ふだんからおしっこの状態や全身症状に変化が見られないか、飼い主が日頃からチェックしましょう
●犬の腎不全
腎臓の機能が低下して、体内の老廃物や有毒物質を排出できなくなった状態です。尿毒症に進行すると生命の危険もあるので、病状には十分に注意してください。
【かかりやすい犬種】
腎炎にかかっている犬
【原因】
腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があります。
・急性腎不全
急性腎炎が悪化したために起こります。また、尿路結石などでおしっこがまったく出なくなると、急性腎不全におちいることがあります。
・慢性腎不全
慢性腎炎などの腎臓病を長期間患い、徐々に腎臓の機能が障害されたために起こります。
【症状】
急性腎不全では、腎臓の機能が急激に低下します。そのため、体内の水分調整が乱れ、さまざまな症状が現れます。食欲不振になったり、嘔吐や下痢が起こります。目の中がパサパサに乾くほど、かなりひどい脱水症状が見られることもあります。
慢性腎不全では、食欲不振が続きやせてきます。また、貧血も見られます。激しい症状が見られることは少なく、寝起きに嘔吐したり、軽い下痢が見られる程度です。
【予防法】
おしっこが少ないのは|尿毒症のサインかもしれません。
尿の量が極端に減って、□からアンモニア臭がする時は尿毒症が疑われます。大至急、動物病院へ連れて行ってください
●犬の膀胱炎
尿路感染症のひとつで、泌尿器の病気のなかでも、とくに犬に多く見られます。
【かかりやすい犬種】
すべての犬種。とくにミニチュア・シュナウザーは先天的に多い
【原因】
細菌感染によるものがほとんです。尿道から侵入した細菌に膀胱が感染して、炎症を起こします。
オスよりもメスに多いのが特徽てこれはメスの尿道が短いために細菌が膀胱まで達しやすいからです。
【症状】
特徴的な症状は、1回の尿量が少ないのに、おしっこの回数が多くなることです。また残尿感があるため、排尿の姿勢をとるものの、おしっこが出ないこともあります。
尿の色は膿が混じるために濁ったり、濃くなります。ひどい場合は赤茶色っぼい色の血尿が出ることもあります。尿のにおいが強くなるのも特徴です。
【予防法】
予防のためには、水を十分に飲ませ、おしっこをたくさんさせます。膀院内に長時間尿がとどまっていると、細菌が増殖しやすくなります。
食餌の時だけでなく、つねに新鮮な水が飲めるようにしてください。
●犬の尿路結石症
腎臓、尿管、膀胱、尿道を総称して尿路といいます。尿路結石症は、これらの尿路のいずれかに結石ができる病気です。
結石の大きさはさまざまです。砂粒程度の小さなものから、卵大の大きなものもあります。犬の尿路結石の9割以上は、膀胱結石と尿道結石です。
【かかりやすい犬種】
すべての犬種
【原因】
結石ができる原因はわかっていませんが、食餌や水に含まれるカルシウムやマグネシウム、尿酸、ケイ酸などのミネラルが、尿中のたんぱく質やはがれた粘膜などと結合して、次第に大きくなって結石になると考えられています。
結石の形成を促進する原因としては
・膀胱炎などの尿路感染症がある
・水分の摂取量が少ない
・食餌の食べ過ぎ
などが考えられます。
【症状】
・膀胱結石
膀胱結石のために尿が出にくくなると、膀胱に尿がたまり、おなかがパンパンに膨らんできます。
・尿道結石
尿道が結石で刺激されて痛いために、おなかを緊張させながら背中を丸めます。
おなかを触ったり、抱き上げようとすると、痛がって鳴き叫ん で抵抗します。
【予防法】
完全な予防対策はありませんが、結石をつくりやすいミネラルの摂取量を制限するために療法食を食べさせたり、尿の濃縮を防ぐために、水分をたっぷりとらせることが予防につながります。
運動をさせると、小さな結石は移動して、排出されやすくなります。散歩の時間をたっぷりとって、運動をさせるのも予防法のひとつです。