●犬の寄生虫病
●犬の回虫症
回虫はほとんどの犬に寄生していると言われます。しかし、放っておくと寄生虫の数が増えて、さまざまな障害を起こします。
【かかりやすい犬種】
胎盤感染した胎子、子犬は重症化しやすい
【原因】
犬の体内に寄生する回虫には、「イヌ回虫」と「イヌ小回虫」の2種類があります。どちらも糞便中に排泄された卵を、犬が口にすることで感染します。
生後2〜3か月の子犬が感染した場合、子虫はたいてい気管へ移行します。一方、全身へ移行するタイプは、生後6か月以降の成犬が感染した場合に多く見られます。
【症状】
子犬にイヌ回虫が多く寄生すると、食欲不振になったり、便に異常が現れます。
症状としては
・食欲不振
・食べたものを吐く
・回虫を吐く
・粘り気のある下痢便をする
・おなかを痛がる
・発育の状態が悪く、やせる
などがあります。
【予防法】
便の処理を徹底し、犬舎などの衛生管理にも注意を払います。回虫の卵は高温・乾燥に弱ぃのて飼育環境は、日当たりや風通しをよくしておきます。
●犬の鞭虫症
鞭虫はその名の通り、鞭のような形をした寄生虫です。回虫と同様に、多くの犬に寄生しています。鞭虫が大量に寄生すると、さまざまな消化器症状が起こります。
また、ほかの寄生虫との混合感染があると重症化しやすいため、発見したらすぐに駆虫する必要があります。
【かかりやすい犬種】
すべての犬種
【原因】
鞭虫の感染源は、すでに鞭虫に感染している犬の糞便中に排泄された虫卵(幼虫形成卵)です。これが口から入ることで感染します。
【症状】
寄生している鞭虫の数が少ないうちは、とくに目立った症状は現れません。
しかし、寄生数が多くなると下痢便をしたり、排便後にドロリとした血の混じった粘液が出ることもあります。
食欲がなくなり、おなかを痛がることもあります。排便の姿勢をとるものの、便が出ない「しぶり腹」の状態になったら要注意です。
【予防法】
感染予防のためには、次の点に注意するとよいでしょう。
・多頭飼いの時は、ほかの犬に感染しないように隔離する
・糞便はすみやかに処分して、犬舎や敷物など周囲の環境を清潔に保つ。人間にも感染するので便などを直接手で触れないこと
・虫卵は、乾燥・高温に弱いので犬用品を定期的に日光消毒する
・一度感染したということは、犬の行動範囲のなかに感染源があると考えられる。犬の環境を見直してみる
・年に1回は便の検査を受ける
・交配予定日の前に検査を行い、感染していたら駆虫後に妊娠させる
●犬の鉤虫症
鉤虫は犬の小腸に寄生します。成犬では症状は軽いことが多いのですが、子犬や幼犬が感染すると重症化しやすいため注意が必要です。
【かかりやすい犬種】
子犬や幼犬は重症化しやすい
【原因】
・食餌や水、食器などについた感染幼虫を口にすることで感染します。
・皮膚や毛穴から感染幼虫が体内に侵入します。
・感染した母犬から胎盤や母乳を介して感染します。
【症状】
絢虫が成犬に感染した場合は、それほど重症化せず、命にかかわるようなことは少ないと言えます。
ただし、成犬でも栄養状態が悪かったり、高齢犬で抵抗力が低下している場合には十分に注意が必要です。 最も注意したいのは、生後5か月以下の子犬の場合です
【予防法】
感染や再感染の予防には、犬の住環境を清潔に保ち、糞便はすみやかに処理します。
また、散歩中には、ほかの犬の便で汚染されているような場所に近づけないなどの注意も必要です。
●犬の条虫症
イヌ条虫は、瓜の種がずらりと並んだような形をしていることから、瓜実条虫とも言われています。
条虫症は、ノミが中間宿主となって感染する病気です。そのため、条虫の駆除だけでなく、犬の体に取りついているノミの退治も必要です。
【かかりやすい犬種】
すべての犬種
【原因】
原因となるのは、イヌ条虫という寄生虫です。しかし、これが直接、犬に感染するのではありません。ノミが媒介してイヌ条虫に感染します。
【症状】
かなり多数の条虫が寄生している場合には、食欲不振や、下痢または軟便が続く、毛づやが悪くなる、栄養不良でやせる、などの症状が現れます。しかし、ほとんどの場合は、目立った症状がないものです。
わかりやすいのは、おしりをしきりになめたり、地面にこすりつけながら前進するような動作をすることです。
【予防法】
条虫の寄生を予防するには、何よりもノミを退治することです。ノミ取り首輪や、薬用シャンプーでノミを寄せつけないようにします。
また、おもちゃや、犬舎、敷物などを定期的に洗濯・掃除し、殺虫剤を使ってノミを徹底的に駆除してください。
ノミはノミアレルギーの原因にもなります。皮膚病予防のためにも、徹底的にノミを駆除しましょう。