犬の感染症

●犬の感染症

●犬の狂犬病

狂犬病は、犬にも人にも共通するウイルス感染症です。しかも、発病すると致死率100%の非常にこわい病気です。現在、日本では犬の登録、予防接種、検疫をはじめとする、予防対策が確立しているため、1957年以来、発生は防がれています。
しかし、海外にはまだ狂犬病が存在する国があり、そうした国々から持ち込まれる動物によってもたらされる危険があるため、十分な注意が必要です。

【かかりやすい犬種】
すべての犬種

【原因】
狂犬病は、犬や人間だけでなくすべての哺乳類に感染します。
狂犬病ウイルスは、発病している動物の唾液中にあり、これがかみ傷などから侵入して感染します。

【症状】
かみ傷などから唾液中のウイルスが体内に侵入すると、中枢神経がおかされます。潜伏期間は2〜6週間です。
病状は、前駆期を経て、狂噪型かまひ型のいずれかに分かれます。
前駆期には食欲不振や暗所への隠れなどの行動異常が見られます。80〜85%は狂噪型で、よだれをダラダラと流し、凶暴性や興奮状態が続いて死亡します。
まひ型は、発病のはじめから筋肉のまひ症状が続き起立不能、昏睡となり死亡します。

【予防法】
狂犬病はワクチンの接種で予防が可能です。また狂犬病予防法でも年1回の予防接種が義務づけられています。必ず、予防接種を受けるようにしてください。

●犬のケンネルコルフ

がんこなせきが続く、呼吸器の感染症です。抵抗力が弱い子犬や高齢犬では重症化すると肺炎になったり、衰弱して死亡することもあります。

【かかりやすい犬種】
抵抗力の弱い子犬、高齢犬

【原因】
ウイルスや微生物、細菌などが、単独でまたは、混合して感染、発症します。
ケンネルコフは、その名前のように、単独で飼っている場合よりも、ケンネル(犬舎)などで多頭飼いされているところで発生しやすい病気です。
この病気に感染している犬がせきやくしゃみをすると、ウイルスや細菌がまき散らされ、次々に感染するケースが多いようです。

【症状】
最初は痰のからまない乾いたせきをします。発作のようにせき込むので、のどに何かがひっかかったり詰まったかのように見えます。
軽症では微熱が出ますが、食欲も元気もあります。この程度なら数日で治まりますが、さまざまな細菌やウイルスに混合感染した場合には、症状がひどくなります。高熱が出たり、膿のような鼻汁が出ます。食欲も低下し、ひどい場合は肺炎になります。

【予防法】
ケンネルコフは、年に1〜2回混合ワクチンの予防接種を受けることで予防できます。





●犬のジステンバー

ジステンパーウイルスに感染することによって起こる感染症です。死亡率、伝染率ともに高く、命をおびやかすこわい病気です。
とくに1歳未満の子犬がかかりやすいのですが、成犬でも油断はできません。

【かかりやすい犬種】
生後1歳未満の子犬

【原因】
主な感染経路は次の3つです。
@飛沫感染
感染している犬のくしやみなどの飛沫を空気と一緒に吸い込んで感染する。
A間接感染
感染している犬が使ったブラシ、寝床、食器、おもちゃなどを使ったことによって感染する。
B直接感染
感染している犬の鼻や口に触れたり、感染した犬がかんだり、なめた時に感染する

【症状】
ジステンパーウイルスに感染すると、4〜6日後に初期症状が現れます。発熱や食欲不振、元気がないといった軽い症状で、かぜと間違えて見過ごしやすいものです。
免疫力の強い成犬であれば、この程度でなおってしまうこともあります。しかし、免疫力の弱い子犬や高齢犬では、感染初期の症状で体力が低下しているため、ジステンパー以外の細菌などに二次感染しやすく、状態が悪化していきます。

【予防法】
ジステンパーの予防にはワクチン接種が有効です。年に1回、予防接種を受けさせることてジステンパーから愛犬を守ることができます。

●犬のパルボウィルス感染症

パルボウイルス感染症は、子犬がかかる病気です。ウイルスの感染部位によって、「心筋型」と「腸炎型」があります。
心筋型は生後3〜9週目の子犬が、腸炎型は離乳期以降の子犬がかかりやすい特徴があります。

【かかりやすい犬種】
生まれて間もない子犬、離乳期以降の子犬

【原因】
パルボウイルス感染症はイヌパルボウイルスの感染が原因です。ウイルスが犬の鼻や口から侵入する、経口感染によって感染します。

【症状】
心筋型は、突然異変が現れます。悲鳴をあげたり、吐き気や不整脈が起こることもありますが、ほとんどは、さっきまで元気だった子犬が急激に状態が悪くなって、呼吸困難で30分以内に急死してしまいます。そのため、手の施しようがないことがほとんどです。
一方、腸炎型は飼い主が気がつきやすい症状が現れます。まず、激しい嘔吐があり、その数時間〜1日後から頻繁に下痢を起こします。

【予防法】
予防のためには、何よりもワクチンの接種が有効です。死亡率の高い病気ですから、子犬の時から年に1回、定期的にワクチン接種を受けておくことが非常に重要です。

●犬のコロナウィルス性腸炎

イヌコロナウイルスによる腸炎で犬を複数で飼っているところで感染しやすい病気です。パルボウイルスと同時に感染すると命を落とす危険があります 。

【かかりやすい犬種】
多頭飼いされている犬

【原因】
コロナウイルスは非常に感染力の強いウイルスです。複数の犬を飼っている場合、全部の犬があっという間に感染・発病することもめずらしくありません。
コロナウイルスは、感染した犬の糞便や嘔吐物の中にあり、これらに接触したり、汚染された食器などを介して経口感染します

【症状】
症状は急激にはじまり元気がなくなり食餌をとらなくなります。下痢についで嘔吐が見られます。
便はオレンジ色で悪臭がし、粥状から水のような便になって、血便になることもあります。下痢や嘔吐による脱水で衰弱していきます。

【予防法】
予防のワクチンはつくられていません。感染予防には、犬舎や犬の住環境を清潔に保つことが不可欠です。

 

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