犬の歯・口の病気

●犬の歯・口の病気

●犬の歯周病

近年、犬の歯周病が増えています。歯肉(歯茎)がおかされて歯周病になると、ものを食べるのが不自由になるだけではすみません。細菌が全身におよぶ危険もあります。

【かかりやすい犬種】
すべての犬種

【原因】
歯周病は、歯の周囲にある歯肉(歯茎)に炎症が起こる病気です。歯肉の炎症は、歯垢がたまることによって起こります。
歯垢の中には口の中で繁殖した細菌が大量に存在し、これらが歯肉を剌激して炎症を引き起こします。
歯垢はやがて、硬い歯石になります。歯石が歯と歯肉の間の溝に沈着すると、溝がどんどん深くなって歯周ポケットというすき間をつくります。このすき間もまた細菌のすみかとなります。
進行すると、ここに膿がたまります。これが俗に歯槽膿漏といわれる状態です。

【症状】
歯周病の初期症状は、歯肉のはれや出血です。次の症状が出てから気づくことが多いようです。
・口臭が強くなる、腐敗臭がする
・よだれの量が増えてくる
・歯の色が茶色に変色する
・食餌を食べるのに時間がかかり、食欲がなくなったように見える
・歯が以前よりも縦に長くなったように見える

【予防法】
歯周病は、何よりも予防が肝心です。歯と歯肉のチエックをかねて、ブラッシングの習慣をつけましょう。

●犬のむし歯

犬にはむし歯は少ないといわれていましたが、近年、犬の食生活の変化と高齢化が原因で、むし歯にかかる犬は増えています。
むし歯にかかりやすいのは3〜7歳ですが、高齢犬になるほど多発しやすいので注意が必要です。予防のためには、子犬の頃からの歯の健康管理が重要です。

【かかりやすい犬種】
すべての犬種

【原因】
むし歯の原因は、歯の表面に付着した歯垢です。
歯に付着した食べ物のかすを放置すると、そこで細菌が増殖します。これが歯垢です。
歯垢に含まれる細菌によって、酸がつくられ、歯の表面のエナメル質を徐々におかしてしまうのです。

【症状】
愛犬がむし歯になっても初期にはほとんど気がつきません。
進行してくると、歯の色が部分的に茶色から黒っぽい色に変わってきます。さらに進行すると歯に穴が開いたり、欠けてくることがあります。

【予防法】
むし歯予防には、定期的な歯磨きはもちろんですが、固い食餌がおすすめです。
柔らかいものばかり食べさせていると、歯垢がつきやすく、むし歯の原因になります。
食物繊維が多<含まれるものを与えるのもよいでしょう。歯垢の除去に効果があります。
また、食後に犬用のガムなど、固いものをかませるのも効果的です。

●犬の口内炎

口腔粘膜に起こる炎症で、全身的な病気が原因で起こったり、むし歯や歯周病、ロの中のけがが原因でできることもあります

【かかりやすい犬種】
すべての犬種

【原因】
単純なものでは、食餌やものをかんだ時に骨や本片などでけがを負い、その部分に口内炎ができます。健康であれば、すぐになおります。
糖尿病やビタミン欠乏など、全身の病気や感染症が原因で口内炎ができることもあります。
また、歯周病が原因のものも意外に多く、これは歯肉から広がるのが特徴です。

【症状】
口内炎の外見はさまざまです。赤い発疹が見られたり、うすい膜が表面についた潰瘍ができることもあります。また、水泡状の口内炎ができることもあります。

【予防法】
口の中を清潔に保つことが予防につながります。細菌が増殖しないようこまめな歯磨きを心がけましょう。





●犬の口唇炎

犬にのみ見られる病気です。唇に炎症が起こり、患部から不快なにおいがします。
しわの多い短頭種や唇の垂れた犬はかかりやすいため、とくに注意が必要です。

【かかりやすい犬種】
パグ、コッカー・スパニエル、狗などの短頭種や、セント・バーナードなど唇の垂れた犬

【原因】
唇に何らかの炎症があり、その部分に細菌が二次感染して発症します。
たとえば、唇をけがしたり、植物やプラスチックのアレルギーで炎症が起きている場合などにかかりやすいものです。

【症状】
痛みやかゆみがあるため、唇を気にして、しきりに足で口のあたりをひっかきます。かすかに不快そうな表情をすることもあります。
患部をひっかくこともあって脱毛が起こります。また、患部から不潔な嫌なにおいがします。

【予防法】
かかりやすい犬種は、予防のために口周囲の清潔を心がけましょう。
食後に食べかすが残っていたり、遊んだ後に土や泥などがついている時は、洗うか、水でぬらしたタオルなどでふき取るようにします。シャンプーなどの際は、しわの部分もていねいに洗ってあげましょう。

 

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