猫の心臓の病気
心臓は生命の維持に必要な血液を全身に送り出す重要な臓器です。
全身に血液を送り出す左心房、左心室と、全身から戻ってきた血液を肺に送り出す右心房、右心室の4つの部屋からなり、心筋に酸素とエネルギーを供給する冠状動・静脈、心臓へ血液を運ぶ大血管(大動脈、大静脈、肺動脈、肺静脈)が付属します。そしてポンブとして血液を静脈側から動脈側に流すための4つの弁があります。
猫には非常に多くの先天性心疾患がありますが、心臓病の発生率は低いものもあります。
●猫の動脈管開存症
【原因】
猫の先天性心疾患のひとつで、胎生期に重要な役割を果たしている動脈管が、生後も閉鎖しないで残るためにあらわれる異常です。
【症状】
中以上の太い動脈管がある場合は、発育が悪く、運動するのをいやがるほか、呼吸器感染、呼吸困難、心不全などが見られます。
【治療・予防法】
外科手術により延命は可能です。
●猫の右大動脈弓遺残症
【原因】
猫の先天性心疾患のひとつで、心臓とつながる大動脈の発生異常です。
【症状】
食道や気管が圧迫されるので離乳後に
・食後に嘔吐しやすくなる
・食べ物を飲み込むことが困難になる
・発育が悪い
・気管に食べ物が入りやすく肺炎を起こす
・気管が圧迫され呼吸困難になる
などの症状が見られます。
【治療・予防法】
手術で治る病気です。立った姿勢で流動食を与え、ある程度発育を促してから、手術を行います。
●猫の心室中隔欠損症
【原因】
発生頻度の最も高い先天性心疾患で、心室中隔の欠損で血液が左心室から右心室へ流人し、さまざまな異常が起こります。
【症状】
欠損孔が小さい場合は症状の表れないことが多く、大きい場合には、発育の遅れ、運動嫌い、呼吸困難、チアノーゼ(舌や□の中が紫色になる)が見られます。
【治療・予防法】
根治手術は難しく、運動制限と食事療法、抗生物質の投与などをを行います。
●猫の心内膜欠損症
【原因】
発生率の高い先天性心疾患で、胎生期での心室の境界部の発育障害や奇形で起こります。
【症状】
発育が悪<疲れやすい、呼吸困難、呼吸器感染の合併などを起こします。
新生子、幼猫に多<、哺乳能力の低下が見られるときは人工哺乳を行います。
【治療・予防法】
根治手術は難しく内科療法が中心です。
●猫の心筋症
【原因】
心筋の疾患によって起こる血液の流出障害で、肥大型、拡張型、拘束型の3つに大別されます。
肥大型は若いメス猫、拡張型は中年以降の猫に多く見られます
【症状】
呼吸が自然にできず、元気・食欲がなくなリ運動をいやがります。
心臓内や血管内で血栓ができやすくなり、血栓症になると後ろ足が麻痺してくることもあります。重症の場合、呼吸困難による突然死もあります。
【治療・予防法】
心不全の場合は、強心利尿処置が必要です。一般的に、動脈血栓が起こると病気の回復の望みがもてなくなります。