猫の寄生虫病
猫の体内にはさまざまな寄生虫が寄生します。病原性はそれほど強くないものが多いのですが、腸に寄生して長期間栄養分を奪い発育を遅らせたり、時には死ぬこともあるため、見逃すことのできない病気のひとつです。
内部寄生虫には線虫類、吸忠類、条虫類および原虫類があり、人に感染する種類もあります。
●猫の回虫症
【原因】
線虫のネコ回虫とイヌ小回虫の2種が寄生しますが、日本では主にネコ回虫です。ネコ回虫は約20〜25cmのパスタのような形をした寄生虫です。
感染した猫の便に回虫の卵が混じり、それをなめて感染するほか、母猫の体内にいた幼虫がお乳を介して子猫へ移ったり、幼虫を体内に持つネズミなどを捕えて食べていまい感染します。
【症状】
回虫は消化した食べ物を栄養源にしているため、幼猫に寄生すると栄養障害を起こして発育が遅れます。
成猫でも大量に発生すると腸粘膜の炎症や腸閉塞を起こし、消化不良や嘔吐、貧血を起こします。
【治療・予防法】
症状が出たら駆虫剤で駆除します。回虫の卵は乾燥、熱に弱いので、寝具などは日光に当てて消毒するか熱湯で洗濯をし、猫の便は速やかに処理するよう心がけましょう。
●猫の鉤虫症
【原因】
線虫のネコ鉤虫という長さ1〜2cm程度の寄生虫が原因で、感染したねこの便に混じった卵から孵化した幼虫が、皮膚や毛穴、□、母猫からなどのルートで侵入して感染します。
【症状】
年齢や栄養状態などにより症状はさまざまで、急に元気がなくなる、食欲不振、体重減少、粘液質の血便、貧血を起こします。とくに幼猫は症状が重くなるので注意が必要です。
【治療・予防法】
検便をし、駆虫剤で駆除します。幼虫が感染力を持つのに1週間以上かかるので、便はその都度速やかに処理します。
また、母猫を感染から守ることが、子猫の感染予防につながります。
●猫の瓜実条虫症
【原因】
便の表面や肛門の周りに白いゴマ粒大のものを見つけることがありますが、これが瓜実条虫の片節です。形がキュウリの種に似ているところからこの名前があり、人にも感染します。
条虫の体は小さな片節がつながっており、卵を含む片節が切れて猫の肛門から這い出します。卵は中間宿主であるノミなどの体内で孵化し、猫がそのノミを食べて感染します。成虫は最大50cmに達し、吸盤と多数の鉤で腸の粘膜に体を固定します。
【症状】
多数寄生すると腸管からの出血や腸の炎症、嘔吐、下痢などの消化器症状や貧血を見ることかあります。
【治療・予防法】
検便をして、原因が分かれば駆虫剤を投薬します。ノミの寄生を防ぐことが一番の予防になります。
●猫のフィラリア症(イヌ糸条虫症)
【原因】
フィラリアに感染した犬から血を吸った蚊が他の犬やネコを刺した場合に感染します。主に犬の病気として知られていました。
犬は右心系に、猫は肺の血管内に寄生します。
【症状】
症状が進行すると、咳きこみ、呼吸困難、嘔吐が見られ、突然死を引き起こすこともあります。
【治療・予防法】
薬を飲ませる内科治療と直接虫を取り出す外科治療のどちらかが選択されます。