犬の皮膚病

●犬の皮膚病

●犬のアトピー性皮膚炎

動物の体には、外敵から体を守る防御システムが備わっています。ところが、このシステムが過剰に反応してしまうことがあります。ふつうなら反応しないほこりゃ花粉などにまで、体が過剰に反応してしまうのです。これがアレルギーです。
アトピー性皮膚炎は、原因となる物質を吸い込むことで、体内でアレルギー反応が起こり、その結果、皮膚に炎症が起こる病気です。

【かかりやすい犬種】
ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア、ケアーン・テリア、スコティッシュ・テリア、ワイアー・フォックス・テリア、ボストン・テリア、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ボクサー、シャー・ペイ、ダルメシアン、ブルドッグ、ラサ・アプソ、ミニチュア・シュナウザー、アイリッシュ・セター、イングリッシュ・セター、コッカー・スパニエル、ジャーマン・シェパード、柴、秋田

【原因】
ダニやカビ、ほこり、化学物質などさまざまな物質が原因(アレルゲン)になります。原因は複雑で、特定が難しいのもアトピーの特徴です。

【症状】
アトピー性皮膚炎は生後6か月から5歳ぐらいまでの比較的若い犬がかかりやすく、そのうちの75%が1〜3歳までに発症しています。
全身のどの部分にも起こりますがとくに多いのは顔、耳、足先、わきの下、足のつけ根、関節の内側などです。
強いかゆみのために足で患部をしきりにひっかきます。時にぱ、かんだり、なめなりします。そのうちに、かき続けた部分の毛が抜けたり、かき壊して皮膚が傷つきます。皮膚が黒ずんだり、厚くなることもあります。なめまわしたために、毛の色が変色することもあります。

【予防法】
ダニやカビ、ほこりなどが発生しないよう清潔に保つことが大切です。また、日頃から定期的に薬用シャンプーで洗って、皮膚の清潔を保つよう心がけてください。

●犬の膿皮症

膿皮症は犬の皮膚病では比較的多いものです。原因は皮膚についた細菌が毛穴で増殖して、化膿するためです。
強いかゆみがあり、ひっかいたり、なめたりするため、広い範囲に脱毛が起こることもあります。

【かかりやすい犬種
イングリッシュ・セター、コッカー・スパニエル、ブルドッグ、ペキニーズなど

【原因】
細菌が毛穴や皮膚にある傷口などから侵入して、繁殖するために起こります。
私たちの周囲には、つねに数多くの細菌が存在しています。病気や老化によって抵抗力が低下していると細菌が侵入・増殖しやすくなります。また、ほかの皮膚病にかかっていて傷や炎症があるために二次的に感染することもあります。
慢性の皮膚病があったり、栄養不良状態の時、また体質に合わないシャンプーなどが引き金になることがあるので気をつけましょう。

【症状】
皮膚の表面に感染している場合は皮膚が赤くなったり、発疹ができる程度ですが、皮膚の奥深くまで感染すると、膿を持ったり、発熱することがあります。
かゆみが強いため、かんだり、ひっかいたりを繰り返し、その結果、脱毛が起こります。
ブルドッグやベキニーズなど深いシワのある顔を持つ犬種では、下唇の周囲や、皮膚のシワの間に起こりやすいので注意が必要です。

【予防法】
感染予防には、日頃から定期的に薬用シャンプーで洗って、皮膚の清潔を保つよう心がけてください。





●犬のかいせん症

かいせん症はダニの一種が皮膚に寄生して起こる皮膚病です。
激しいかゆみのため、犬はひっかいたり、かんだりを繰り返します。

【かかりやすい犬種】
すべての犬種

【原因】
イヌセンコウヒゼンダニの寄生によるものです。このダニに感染している犬やその犬舎、首輪、ブラシなどを介して感染します。
イヌセンコウヒゼンダニは皮膚に取りつくと穴を開けて入り込み、穴を掘りながら動き回ります。また、メスダニは穴の中に卵を産み、卵から孵化した幼ダニは穴を据りながら皮下で成長します。そのため、寄生された犬は耐えがたいかゆみにおそわれます。

【症状】
耳やひじ、かかと、おなかなどの柔らかい部位に発症しやすい病気です。感染初期は、皮膚が赤く膨らんでいますが、かゆいために、犬が激しくひっかき、傷ができると分泌液がかたまって、かさぶたになります。
ところが、かゆみは治まらないので、さらにひっかいて出血したり、傷口から細菌が侵入し、二次感染することもあります。また、皮膚が傷つくために脱毛も起こります。

【予防法
飼い主にも感染することがあるので、愛犬の感染がわかったら、飼い主も皮膚科で検査を受けた方がよいでしょう。

●犬のツメダニ症

ダニの寄生によって起こる皮膚病のひとつです。フケ、かゆみ、背中にそって起こる脱毛が特徴です。ケイレテイラ皮膚炎ともいいます。

【かかりやすい犬種】
すべての犬種

【原因】
ツメダニ(イヌツメダニ)は犬固有のダニです。犬の皮下に寄生して、皮膚炎を引き起こします。

【症状】

ツメダニが寄生すると、患部にかさぶたができたかのようにフケがぶ厚く重なります。その下にツメダニが大量に隠れています。抜毛の先に白い粉をふいたように、ツメダニが付着していることもあります。犬はたいへんかゆがります。

【予防法】
飼い主にも感染することがあるので、愛犬の感染がわかったら、飼い主も皮膚科で検査を受けた方がよいでしょう。

●犬のニキビダニ症

ニキピダニの寄生によって起こる皮膚病です。脱毛が起こり、皮膚が変色します。ひどくなると、ニキビのように膿がたまった発疹ができたり、水痘ができます。

【かかりやすい犬種】
ビーグル、チワワ、ダックスフンド、ダルメシアン、ドーベルマン、ピンシャー、グレート・ピレニーズなど

【原因】
ニキビダニは、健康な犬にも多少寄生していますが、ふつうは抵抗力があるため、大量増殖することはありません。大量増殖するのは、たいてい免疫力の弱い生後4〜9か月程度の子犬です。生後間もない子犬がおっぱいを飲む時に母犬から感染すると言われています。

【症状】
大量増殖したニキビダュが毛根をおかすために、初期には脱毛が起こります。皮膚の変色も見られます。脱毛だけのごく初期には、あまりかゆがりません。しかし、進行するとニキビのように膿を侍って皮膚がただれることもあり、こうなるとかゆみが強くなります。母大からおっぱいを飲む時に感染することから、目や口の周囲などの顔から発症するケースが多く見られます。

【予防法】
ニキビダニは子犬や若い犬に多く見られますが、近年では10歳以上の高齢犬にも見られます。高齢犬になると、一般になおりにくくなります。

●犬の脂漏症

皮膚を保護する役目を持つ皮脂の分泌が、何らかの原因によって多過ぎたり、少なくなり過ぎるために起こります。
犬には比較的多く、しかもなかなかなおりにくいというやっかいな皮膚病です。

【かかりやすい犬種】
コッカー・スパニエル、シー・ズー、スプリンガー・スパニエル、シャー・ペイ、アイリッシュ・セター、ダックスフンドなど

【原因】
皮脂は、皮膚の毛穴にある皮脂腺から分泌されます。皮脂がうすい膜となって皮膚をおおい、乾燥しないように保護しています。
なめらかで健康な皮膚を保つためには、皮脂が正常に分泌されていなければなりません。こうした、正常な皮脂の分泌が●脂肪分の不足●ビタミン・ミネラルの不足●寄生虫・真菌による皮膚炎●アレルギー●内臓の異常のような原因によって障害されると、脂漏症になります。

【症状】
皮脂腺の働きが悪くなると皮脂の分泌が少なくなって、皮膚がカサカサに乾燥します。これが乾性型です。
一方、皮脂が過剰に分泌されると出過ぎた皮脂で皮膚がべタベ夕と脂っぽくなります。これを脂性型と言います。脂性型はとくに、背中、おなか、耳、目の周囲、乳頭の周囲に見られます。このタイプは外耳炎にかかりやすいのが特徴です。
共通点はフケが多量に出ることと、患部からくさいにおいがすることです。

【予防法】
脂漏症はこじらせると、生涯、治療が必要になるケースが多いものです。そのため、フケなどの異常に気づいたら、早期に治療をぱじめることが大切です。治療が遅れるほど、症状が重く、原因も複雑になるため治療が長引きます。

●犬のノミアレルギー

ノミにかまれたり、接触することによって皮膚炎が起こるものをノミアレルギーといいます。
アトピー性皮膚炎や接触性アレルギー、食物性アレルギーなど、ほかのアレルギーがあると、ノミアレルギーも起こりやすくなります。

【かかりやすい犬種】
すべての犬種

【原因】
ノミが血を吸う時に犬の体内にノミの唾液も注入されます。
皮膚から吸収された、この唾液の中のパプテンというたんぱく質に対してアレルギー反応が起こり、皮膚炎が引き起こされます。

【症状】
ノミアレルギーによる皮膚炎は腰の背中側、後ろ足、足のつけ根おなかなどに多く見られます。かゆいために、ひっかいたり、なめてかゆみを止めようとします。
激しいかゆみのために、夜眠れず睡眠不足になってしまうこともあります。アレルギーが起こると、皮膚に赤いポツポツした発疹ができたり、赤くはれたりします。
ひっかくことによって、ゴワゴワとしたかさぶたができたり、脱毛が起こることもあります。

【予防法】
愛犬の体と愛犬の生活環境からノミを除去します。ノミは室内の畳やじゆうたんなどでも繁殖するのでくまなく駆除することが大切です。

 

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