猫の消火器系の病気

猫の消火器系の病気

猫の胃腸器の病気は、比較的発見しやすく、食べ物の飲み込みや咀嚼に支障をきたす「嚥下困難」、食後30分以上経って起こる「嘔吐」、食べた直後に末消化のまま吐きだす「吐出」、「下痢」などの症状であらわれます。
腹腔内の疾患は、結膜、□腔、皮膚が黄色になる「黄疸」や便秘などの症状が慢性経過をたどることが多く、病気の発見と見極めに時間がかかります。食欲や体重の変化など、ふだんからの健康管理とチェックが大切です。

●猫の口腔/食道/胃内異物

【原因】
猫が好奇心などで異物をくわえて飲み込んだり、あわてて食べた食べ物が食道に詰まったりします。

【症状】
ロ腔に異物があるときは、しきりに前足で□をかくような動作をします。
食道に異物がつまっているときは、吐き出すことが起こりやすくなります。飲み込んだものが尖っていて食道にささったり、穴を開けたりすると、しきりに吐いたり、食欲不振を起こします。
胃内異物が大きいものほど吐くなどの症状は激しくなり、腹部の不快感が見られます。

【治療・予防法】
□を開けて異物を探し、取れれば取ります。糸やヒモは軽く引いて抜けないときは強く引いてはいけません。
食べ物が食道につまって呼吸困難になった場合は、後ろ足で立たせ、胸を強めにたたいて胃へ落とします。
つまった異物の種類や形によっては、外科的な処置が必要になります。
異物を飲み込む事故は、好奇心の強い子猫ほどよく起きます。飼育環境を整備して規則正しく静かに食事させるようこころがけましょう。

●猫の毛球症

【原因】
胃腸内異物の一種で、セルフグルーミンクで飲み込んだ被毛が胃の中でポール状になったり、腸の中で毛糸玉状にからまる病気です。

【症状】
吐き出せない場合、嘔吐、食欲不振、便秘、脱水症状を起こします。

【治療・予防法】
脱水症状を起こしている場合は、輸液を行います。
便中の毛玉を軟らかくする予防薬を飲ませたり、オイルを餌に混ぜて食べさせるなどして、毛玉を排出させます。
長毛種に起きやすいので、毛が生え換わる時期にはこまめにブラッシングしましょう。

●猫の胃腸炎と潰瘍

【原因】
胃から腸にかけての粘膜の炎症のことを言います。
ウイルスや細菌の感染によるもの、原虫・寄生虫の感染、化学薬品の誤飲、腫瘍の二次的病変などの場合があります。
粘膜がびらんして、部分的な欠損が生じると「潰瘍」になります。

【症状】
下痢、嘔吐を伴うことが多く、脱水症状、食欲不振を起こすので、早期治療が必要です。
代表的な急性ウイルス性腸炎は、ネコ伝染性腸炎で、急激な40度近い高熱、嘔吐、下痢、血便など。食べ物はほとんど受け付けず、体力のない子猫なら3〜4日目で死亡するとても怖い病気です。

【治療・予防法】
原因をつきとめて除去し、対症療法を行います。
ウイルス性腸炎は、ワクチンの接種で予防できます。とくに子猫の下痢は、健康診断と検便が有効です。

●猫の突発性間欠性逆流(吐出)

【原因】
缶詰などを一度にたくさん食べることが主な原因で、環境の変化や新しい猫が来たといったストレスなども関係します。

【症状】
食後すぐに吐き出して、食欲があれば問題ありませんが、吐き出す回数が多かったり、決まった時間に吐き出す場合は要チェックです。

【治療・予防法】
ストレスの原因をつきとめ、取り除いてあげることで治ります。食事量を減らし、回数を増やして対応します。

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●猫の腸閉塞(イレウス)

【原因】
異物を飲み込んだために、腸内で通過障害を起こす「機械性イレウス」と、細菌やウイルスによる腸炎が原因で起こる腸管麻痺などの「機能性イレウス」があります。

【症状】
腸の動きが妨げられて、嘔吐が起こります。閉塞の程度が激しければ、元気がなくなり食欲が低下します。腹痛を起こして排便が止まり衰弱が激しくなります。

【治療・予防法】
機械性イレウスは、レントゲン検査をして、緊急に異物摘出の手術が必要なことが多いようです。
機能性イレウスは、原因となる腸炎の対症療法を行います。

●猫の便秘/巨大結腸症(慢性便秘

【原因】
食事や環境の変化によるストレス、異物の誤飲、神経障害のほか、事故による骨盤狭窄などの通過障害からも起こります。
長期にわたって便秘が続くと、結腸の弾力が失われ、異常に太くなる巨大結腸症になります。

【症状】
猫の便秘は比較的多く、とくに老猫、衰弱した猫、換毛期の長毛種に見られます。
何度もトイレに行って排便をしようとしますが便は出ない状態が続き、重い便秘の症状が現れます。猫を横に寝かせ腹部を触ると硬い糞塊が触れれます。排便で力んだときに、嘔吐することもあります。
病気ではありませんが、病気の原因や兆候として注意が必要です。

【治療・予防法】
脂質や食物繊維を増やして大腸の働きを活発にする食事管理が大切です。
毛球から起こる便秘には、専用の薬剤が市販されております。

●猫の腹膜炎

【原因】
腹膜の炎症によって、腹腔内に腹水かたまる病気です。
事故や外傷、異物を飲み込んでしまっての腸壁の尖孔、肝臓の膿疸、化膿性腎炎、子宮蓄膿症などによっても、細菌が腹腔内にもれて起こります。

【症状】
伝染性腹膜炎の湿性型(ウエットタイフ)の進行でよく見られ、発熱、元気・食欲低下の症状が表れ、黄疸や胸膜炎なども併発します。
外傷が原因の場合は、発熱、食欲不振、服吐、下痢や腹痛などの症状が見られます

【治療・予防法】
死亡する場合が多いので、早急な処置が必要です

●猫の肝リピドーシス

【原因】
肝臓に多くの脂肪がたまることによって起こる肝不全で、肥満した猫に多く見られます。
肥満、糖尿病、長期の細菌感染が原因のほか、肥満した猫が絶食したときにも突発的に起こります。

【症状】
肥満した猫が突然拒食、抑鬱状態になり、黄疸と黒い下痢便が見られます。悪化すると、けいれん発作などの肝不全の症状が表れます。

【治療・予防法】
低脂肪、高タンパクの食事管理をし、猫自身の自力回復を促します。環境の変化が原因で発病することが多いので、肥満の猫にはストレスを与えないよう注意しましょう。
普段から、健康体重の維持とバランスのとれた食事が大切です。

●猫の肛門嚢炎

【原因】
肛門の両側にある肛門嚢の腺体の炎症です。
ここから排出される分泌物でマーキングしたり、互いに匂いを嗅ぎ雌雄の区別をしています。

【症状】
通常は排便後に、液状や泥状の分泌物が排出されますが、腺部につまると化膿して排便時に痛みを感じ、尾のつけ根やお尻を舐めたり、咬んだりします。
老猫は腫瘍になることもあるので、肛門のチェックを欠かさずしましょう。

【治療・予防法】
月に1〜2回、肛門嚢に脱脂綿やガーゼを当てて、分泌物を軽くしぼるとよいでしょう。

 

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