猫の脳・神経の病気

猫の脳・神経の病気

神経に異常をきたす病気は、先天性のもの、感染性・炎症性の病気によるもの、代謝性・中毒性・栄養性の病気からくるもの、発作性障害、外傷によるもの、腫瘍、寄生虫によるものがあります

●猫の水頭症

【原因】
胎児期に何らかの損傷で小脳の形成不全が起きる先天性水頭症が主です。

【症状】
失明、興奮しやすい、一定の円を描いて回る旋回運動、壁に頭を押しつけるけいれん発作などの症状が出ます。
後天性水頭症は、伝染性腹膜炎ウイルスなどによる感染症や腫瘍、交通事故などによる頭部外傷などによって起こり、成猫も発症します。

【治療・予防法】
後天性水頭症は内科療法の効果かおりますが、先天性水頭症は有効な治療法はありません。

●猫の真菌性脳炎

【原因】
全身性真菌症を起こす真菌が、中枢神経系に侵入して脳炎や髄膜炎を起こす病気です。

【症状】
慢性鼻汁、体重減少、リンパ節腫大、呼吸促迫などの全身性疾患に併発して起こります。
けいれん発作、抑うつ、失明、昏睡などの大脳症状、運動失調やふるえ(居眠)などの小脳症状が認められます。

●猫のウイルス性脳炎

【原因】
ウイルス感染の二次的症状として起こる中枢神経の障害です。

【症状】
・ネコ伝染性腸炎ウイルス(FPL)
細胞分裂の盛んな胎児末期から新生児期に感染することが多く、子猫は小脳の異常から歩行に問題が出ることがあります。
・ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)
後ろ足の不全麻痺や完全麻痺などの脊髄病変、両眼が規則正しく一定方向へ動く眼振、首をかしげる捻転斜頚などの前庭病変、けいれんなどの大脳病変など、さまざまな症状があります。
・ネコ免疫不全症ウイルス(FIV)
動き回る、物陰に隠れる、狂暴化する、トイレでの用足しができなくなるなどの行動異常のほか、後ろ足の不全麻痺、瞳孔反射異常、けいれん発作などの神経系の異常が起こります。

【治療・予防法】
予後は悪く有効な治療も現在のところありませんが、近年新しい治療薬を使用することで治癒した例も報告されています。

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●猫の代謝性脳症

【原因】
いろいろな代謝性障害の二次的症状として起きる中枢神経系機能の障害です。

【症状】
意識異常(抑うつ、錯乱状態、昏迷、昏睡)を特徴とし、歩行異常や呼吸の異常などが認められる場合もあります。
原因となる代謝性障害は、低酸素、低血糖、尿毒症、眠性脳症、内分泌機能障害、鉛中毒などなどがあげられます。

【治療・予防法】
それぞれの基礎疾患に対する治療が必要となります。

●猫のチアミン(水溶性ピタミンB1)欠乏症

【原因】
チアミンの欠乏により、中枢神経系の有酸素代謝経路が阻害され、中脳を中心とする出血性壊死を起こします。

【症状】
進行性のけいれん発作や失明、昏睡状態のほか、瞳孔の散大(散瞳)、頭部を自分の胸に曲げるなどの症状があります。

【治療・予防法】
チアミン不活化醇素(チアミナーゼ)を含む赤身の生魚(マゲロ、サケなど)、賞味期限を過ぎたキャットフードが原因で起こるため、食事療法とチアミンの補給で治療します。

●猫のてんかん

【原因】
突然の意識の混濁、全身性の激しいけいれんなどの発作を繰り返し、慢性になる脳の疾患です。

【症状】
発作の頻度、症状はさまざまで、てんかんのような発作を起こすすべての病気を除外することによって初めて確定することができます。

【治療・予防法】
交通事故などによる脳損傷の後遺症として起こる場合もあります。
抗てんかん薬の投与により、発作の回数を減らす治療が可能です。

 

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